うどん

うどん
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茹であげた状態のうどん

手延べうどんの製造風景

ざるうどんと揚げ物うどん(饂飩)は、日本旧来の麺類のうち、小麦粉を原料とし、ある程度の太さ、幅を持った麺、または、この麺を調理した料理である。

目次 [非表示]
1 概要
2 規格
3 歴史
4 文化
5 薬味
6 つゆ
6.1 関東風と関西風の境界線
6.1.1 交通関連
6.1.2 カップうどん
7 麺による分類
7.1 麺の形
7.2 製麺
7.3 麺の状態
8 食べ方による分類
8.1 冷やして食べる
8.2 温めて食べる
8.3 その他の食べ方
9 種物による分類
9.1 ざる(ざるうどん)・もり(もりうどん)
9.2 かけうどん・素うどん
9.3 かやくうどん・五目うどん・おかめうどん
9.4 きつねうどん
9.5 きざみうどん
9.6 月見うどん
9.7 とじうどん
9.8 天ぷらうどん
9.9 たぬきうどん
9.10 カレーうどん
9.11 冷やしカレーうどん
9.12 肉うどん
9.13 力うどん (かちんうどん)
9.14 卓袱うどん (しっぽくうどん)
9.15 あんかけうどん
9.16 おだまきうどん
9.17 おじやうどん
9.18 鍋焼きうどん
9.19 牛鍋うどん
10 日本国内における地方のうどん
10.1 稲庭(いなにわ)うどん
10.2 甘ったれうどん
10.3 ひっぱりうどん
10.4 おっきりこみ
10.5 館林のうどん
10.6 桐生うどん
10.7 水沢うどん
10.8 耳うどん
10.9 加須うどん
10.10 冷汁うどん
10.11 武蔵野うどん
10.12 ほうとう
10.13 吉田のうどん
10.14 おしぼりうどん
10.15 氷見うどん
10.16 ころ(香露)うどん
10.17 きしめん
10.18 味噌煮込みうどん
10.19 伊勢うどん
10.20 関西のうどん
10.21 かすうどん
10.22 こぶうどん
10.23 うどんすき
10.24 備中うどん
10.25 倉敷のぶっかけうどん
10.26 しのうどん
10.27 鳴門うどん
10.28 たらいうどん
10.29 讃岐うどん・しっぽくうどん
10.30 博多うどん(福岡うどん)
10.30.1 丸天うどん
10.30.2 ごぼう天うどん(ごぼ天うどん)
10.31 かしわうどん
10.32 五島うどん
10.33 あごだしうどん
10.34 ごまだしうどん
10.35 沖縄そば
11 日本以外でのうどん
12 代表的なうどんの写真
13 脚注
14 関連項目
15 外部リンク

概要 [編集]
うどんの麺は、薄力粉・中力粉に若干の塩を加えた生地から作られる。生地に加えた塩分の大部分は茹でる間に麺から失われる。茹であげた麺は、「うどんつゆ」を張ったうどん鉢に入れて供される(かけうどん)。うどんつゆは、西日本では昆布と鰹節・煮干で取った出汁を淡口醤油で調味したもの、東日本では昆布と鰹節の出汁を濃口醤油で調味したものが用いられることが多い[1]。

手軽な庶民食、米食の代用食として、また祝い事に際して振る舞われる「ハレ」の食物として、古くから日本全国で食べられてきた。地域によって、調理法や具材が違う。

規格 [編集]
乾麺については、日本農林規格JAS)の『乾めん類品質表示基準[2]』にて、小麦粉に食塩と水を混ぜてよく練った生地を帯状に細く切って乾燥させる製法で機械にて製造しているものは機械麺に分類し、長径[3]が1.7mm以上に成形したものを「うどん」としている。また、長径[3]1.3mm以上〜1.7mm未満に成形したものは「ひやむぎ」の基準でもあるが、それを満たしている場合「細うどん」とも表示可能である[2]。手延べうどんについては、小麦粉に食塩と水を混ぜてよく練った生地に、でん粉や食用油又は小麦粉を塗付して、よりをかけながら引き伸ばして乾燥、熟成させる製法で長径[3]1.7mm以上の丸棒状又は帯状に成形し、『手延べ干しめんの日本農林規格』の詳細を満たしているものが該当する。

生麺・茹で麺等(半生・冷凍麺等も含む)については製麺法を問わず『生めん類の表示に関する公正競争規約[4]』にて、『この規約で「うどん」とはひらめん、ひやむぎ、そうめんその他名称のいかんを問わず小麦粉に水を加え練り上げた後製麺したもの、又は製麺した後加工したものをいう』となっているので、この規約上「ひやむぎ」や「そうめん」はうどんに分類されており、狭義では「生麺・茹で麺タイプはうどんのみ存在する」とも解釈できる。しかし別項にて『一般消費者に誤認されない名称に替えることができる』となっている為、それにより「ひやむぎ」や「そうめん」の名を使用することも認められている[5]。

かつては製法の違い(麺棒や機械で生地を伸ばしてから切るか、細く丸めた生地を引いて伸ばすか等)、社会通念上も、細い麺の「細うどん」と「ひやむぎ」は明確に区別されていたが、現在では「うどん(細うどん)」と「ひやむぎ」の名前の区別は基準・規約に沿った上で取り扱う業者に委ねられているため、乾麺・生麺等において曖昧となっている部分がある。

歴史 [編集]
うどんの誕生には諸説があって、まだ確定はしていない。

奈良時代遣唐使によって中国から渡来した菓餅14種の中にある索餅(さくべい)が、平安時代に完成した『新撰字鏡』 では「牟義縄(むぎなわ)」と呼ばれて、「麦縄(むぎなわ)」が日本の麺類の起源とされる。ただし、麦縄は米と小麦粉を混ぜて作られていた。やがて鎌倉時代になると、円爾など入宋した禅僧らが小麦粉で作る素麺を博多経由で日本に持ち帰って「切麦(きりむぎ)」が誕生した。室町時代には一条兼良の著書「尺素往来」に、「索麺は熱蒸し、截麦は冷濯い」という記述があり、截麦(切麦)がうどんの前身と考える説もあるが、その太さがうどんより細く、冷やして食されていた事から、冷麦の原型とされている。
奈良時代遣唐使によって中国から渡来した小麦粉の餡入りの団子菓子「混飩(こんとん)」に起源を求める説もある。
平安時代空海が唐から饂飩を四国に伝えて讃岐うどんが誕生したという伝説もある。
仁治2年(1241年)に中国から帰国した聖一国師(しょういちこくし)は製粉の技術を持ち帰り、「饂飩・蕎麦・饅頭」などの粉物食文化を広めたとも云われている。また、福岡市の承天寺境内には「饂飩蕎麦発祥之地」という石碑が建てられている。
青木正児の「饂飩の歴史」によれば、ワンタンに相当する中国語は「餛飩」(コントン)と書き、またこれを「餫飩」(ウントン、コントン)とも書き、これが同じ読み方の「温飩」(ウントン)という表記になり、これが「饂飩」(ウドン)となったという。
奥村彪生によれば、うどんは中国から渡来した切り麦(今の冷や麦)が日本で独自に進化したものであるという。奥村によれば、麵を加熱して付け汁で食する(うどんの)食べ方は中国には無く、日本の平安時代の文献にあるコントンは肉のあんを小麦の皮で包んだもので、うどんとは別であり、うどんを表現する表記の文献初出は南北朝時代の「ウトム」であるという[6]。
「うどん」と呼ばれるようになったのは江戸時代に入ってからであり、切麦を温かくして食べる「温麦」と冷やして食べる「冷麦」は総じてうどんと呼ばれた。[7]
文化 [編集]
うどん=西日本、そば=東日本と言う人がいるが、これは正しくない。

東日本にはうどん処として知られている地域が多く(吉田のうどんなど)、大坂(現在の大阪)では天正12年に蕎麦屋「砂場」が開業し、西日本でも江戸時代には蕎麦文化が広まったとも言われている。現在、東京周辺、近畿ともにうどんの専門店は従来の店とチェーン店がある。また日本全国には、うどんとそばの両方を供する「うどん屋」、「そば屋」と称する店が多いが、うどんを主としている店では「うどん屋」、そばを主としている店では「そば屋」と呼ぶことが多い。

江戸時代の江戸の市中においても、うどんは一般に普及していた。特に江戸前期にはまだ麺類としてのそば(そば切り)が一般に普及しておらず、 そばがきとして食べられていたこと(記録としては蕎麦がきの様なものが麺状に切られたのが「1574年(天正2年)初めの建物修復工事完成に際しての寄進物一覧の中に「振舞ソハキリ 金永」というくだりが確認できる)から、麺類としてはうどんに人気があったようである。しかし、のちに麺類としてのそばが普及したこと、またそばとそば屋が独自の文化を育む母体となっていったこと、脚気防止のためにそばが好まれたことなどにより、うどんは江戸における麺類の主流としての地位をそばに取って代わられる。因みに江戸のそばは信州から甲州街道を通して伝えられたものといわれている。

現在の関東地方は、東京都多摩地区、即ち武蔵野(小平市東村山市など)、埼玉県西部及び北部、群馬県などでは、「武蔵野うどん」をはじめとするうどん専門店も多い。実際、平成16年度のうどんの生産量でも1位は讃岐うどんで知られる香川県だが、2位は埼玉県であり、群馬県もベスト5に入っている[8]。これらの地域では二毛作による小麦栽培が盛んで、うどんは日常的な食事だったのである。

東日本には、蕎麦店もうどん専門店もありどちらも多く食べられている。

大阪、京都を初めとする近畿圏内ではうどんは麺類の主役として、今も老若問わず根強い人気を誇る。これは近世以前より近辺には播磨や河内など良質の小麦産地が多かったこと、関東ローム層による火山灰土の影響で硬水が主となる関東地方とは異なり、近畿地方から採れる地下水は軟水であったため昆布との相性が良かったことなど、美味しいうどんを作るのに最適な条件であったことが挙げられる。そのため、関西、とりわけ大阪では麺よりだしに重きを置き(後述)、うどん玉はだしを吸いやすいように、しなやかで柔らかい麺が好まれるようになった。腰がないといわれる(とりわけ、讃岐うどんと比較して)のは、このような文化的な背景があるためである[9]。

20世紀後半から21世紀初頭にかけて4回の讃岐うどんブームがあり[10]。また、讃岐うどんを供するチェーン店が2002年より首都圏から日本各地にオープンし、2005年頃まで続いた[11]。香川ではうどんの専門店が多く、そばとうどん両方を供している店は少ない。

現在でも大阪では「うどん屋」が多く、京都では「うどん屋」も多い一方で、専門の「そば屋」が多い。江戸時代には既に西と東の物資の交流は盛んであった(「富士見酒」などは、その代表)。

西日本方面では、うどんといなり寿司をセットにして食べることを好まれ、多くのうどん店ではいなり寿司を二つずつ載せた小皿で販売する[要出典]。

薬味 [編集]
うどんの薬味として普遍的なものは刻みネギであろう。地域で主に産出するネギの種類に起因し、関東では白ネギが、近畿では青ネギ、ワケギなどが好んで使われる傾向にある。

うどん用の香辛料として江戸時代中期までは胡椒が用いられた(一部地域では、1970年代まで用いられた)が、近世以降現代までもっとも一般的なのは、粉末状の赤唐辛子(一味唐辛子や七味唐辛子)である。これとあわせておろし生姜も用いられる。

つゆ [編集]
うどんのつゆは関東と近畿では異なっており、色の違いは使用する醤油の種類による[1]。

関東では濃口醤油を加熱しながらみりんや砂糖を加えてつくるかえしと呼ばれる下地を用いる(加熱しない「生がえし」を用いる場合もある)。このかえしを基本に、昆布、鰹節を基本としただしで割って作っている。また東京の中心部にはないが、関東全域の伝統的なうどんでは煮干、干椎茸を用いた出汁で醤油ないし味噌で味付けしたものが多い。つゆの色は濃く真っ黒である[1]。

醤油を使ったかえしが登場する以前、うどんがすでに存在した室町時代にたれみそと呼ばれるものが存在した。そのたれみそはみそに水を加えて煮詰め、布袋に入れて吊るし垂らして作っていたものである。種類としてはたれみそをそのまま火を入れずに作る生たれと生たれに削った鰹節を入れて煮詰めて作る煮貫(にぬき)の2種類あった(つゆの歴史についてはめんつゆの項目を参照)。

近畿では昆布、鰹節、鯖節などのだしを基本にしており、椎茸やいりこ(煮干し)を使う。椎茸は甘味、炒り子は辛味が出る。醤油は薄口醤油を使うことが多い。つゆの色は薄く澄んでいる[1]。また、それをつゆと呼ばずに「だし」と呼び、つゆと呼ぶと、つけ麺などに用いる調味料を指すことが一般的である。

近年では、東京方面でもうどん専門店が増えた影響からか、一部には「関東風」と「関西風」の2種類のつゆを選べる店舗も出てきた。神奈川県平塚駅ホームのスタンドではいわゆる「関西風」に近い薄口のみ使用している。その他の首都圏においても以前と違い「関西風」のうどん屋を多く見かけるようになってきた。




関東風と関西風の境界線 [編集]
つゆの関東風と関西風との境界線は諸説存在し、滋賀県米原説[12]、滋賀県岐阜県境の関ヶ原説[13]、大井の渡しによって分断されていた大井川説[14]、三重県の布引山地説、電力周波数の境界と同じ富士川説、豊川説、岐阜県内、木曽郡[要出典]、などの意見がある。これに東海地域を中間とせず別個とした、東海風、名古屋風[要出典]、と区別する意見もある。

交通関連 [編集]
東海道新幹線JR東海道線の駅構内のそば・うどん屋やその周辺地域の出汁(つゆ)の関東風・関西風の境界線についての調査は、過去にいくつかのテレビ番組で行われている。

東海道本線・周辺地域
『くらべてみれば』(NHK、放送日不明[要出典])では、愛知・岐阜県内で出汁の種類が混在しており、蒲郡の街中のうどん屋では注文時に出汁の種類を聞いてくる店もあるという結果であった。
2002年4月25日放送『めざましテレビ』内「めざまし調査隊」コーナーでは、関東風・関西風つゆの境界線は関ヶ原近傍となっていた。
東海道新幹線
2000年12月22日放送『タモリ倶楽部 さよなら20世紀SPECIAL』(テレビ朝日、90分拡大SP)、東海道新幹線各駅のうどんだしの濃さを調査する企画では、関東〜東海にかけてはいわゆる関東風の濃いだしで、特に小田原駅から豊橋駅までむしろ濃くなっていった(この区間が一番濃いだしであった)。豊橋駅の次の三河安城駅でついにやや薄くなる変化が現れ始めた。次の名古屋駅三河安城駅とほぼ同じ。その隣の岐阜羽島駅ではそれより更に薄くなり、次の米原駅からは完全な関西風の薄いだしになるという結果であった[15]。
2001年10月28日放送『所さんの目がテン!』(テーマ:大阪うどん うす味の謎)では東海道新幹線各駅のうどんつゆの色の変化を解き明かす旅が行われ、米原駅で関西風に切り替わる結果となっていた[1]。
これらの事から、鉄道交通関連の店舗において関ヶ原より東京側の名古屋、岐阜、大垣の各駅付近以東では関東風の濃口、関ヶ原を越えた米原より大阪側は薄口を使用していると考えられ、また、関西線や北陸線紀勢線などにも関東風・関西風境界線が実在する[要出典]。

他に日本海側でも関東風・関西風つゆ境界線が実在し、かつて富山県のローカル番組[要出典]で富山県内の高速道路のサービスエリア・パーキングエリアで販売されているうどんつゆの色を調べたところ、ものの見事に東から西に行くにつれ薄くなっていったことや、新潟テレビ21「小野沢裕子のいきいきワイド」取材に基づく[16]事等から、富山県内が分岐点と考えられる。また、西日本でも例外的に山陰地方の鳥取県米子周辺と島根県出雲地方は関東風のつゆである。

駅構内やその周辺にある、そば・うどん屋のつゆの境界に関しては立ち食いそば・うどん店の項目を参照

飛び地なども有り一概に言えないが、北から富山県関ヶ原、愛知県・三重県境を基準として境界線を引くことができるとする意見もある。[17]

カップうどん [編集]
カップうどんについてもつゆの境界線や地域分けが存在する。

詳細は「どん兵衛#東西商品の相違点」、「マルちゃん赤いきつね緑のたぬき#つゆの地域性」をそれぞれ参照

麺による分類 [編集]
麺の形 [編集]
一本うどん - 切らず、引き伸ばさず、押して作る
太うどん
細うどん
平打ちうどん - 薄く、幅広(10〜30mm程度)の麺。特徴的な麺を使うところがある。
製麺法 [編集]
手打ち (足打ち)
人力でこねた生地を薄く延ばし、畳んで包丁で切る。いわゆる「手打ちうどん」は通常これに当たる。こだわりを持ち手打ちを続けている店も多い。但し、地域や店によっては生地を練る段階において、この作業を人間の足裏で踏みつけて行う場合もある[18]。
手打ちには手で麺を打つ意味と刃物を用いて切断する両方の意味がある。
機械打ち
製麺機で作ったもの。市販品や安価なうどん屋で使用されるうどんはほとんどが機械打ち。
手延べ
そうめんと同様に、棒状にした生地を2本の箸にかけ、手で引き伸ばしては束ねる作業を繰り返しながら、紐状に細くし乾燥させ麺を形成していく手法。現在は一部手作業以外は機械化によって省力化されている(原理は同じ)。食感は滑らかである。手延べした後で、竹などに掛けて干すものは、製品にする際に竹に掛けた時の曲線部分が副産物として残る。これを節麺と称し、一般にはあまり流通しないが、これを好む人もいる。
麺の状態 [編集]
玉うどん
生うどんを製麺後、熱湯で茹でる事により麺の熟成を止め、1食分ずつに分けたもの。丸くまとめるので「玉」と言われている(この「玉」という言葉はうどんの量の目安となる単位にも「1玉、2玉」などという表現で使われる)。食べる直前に軽く熱湯で茹で直し、湯を切って供する。水分を多く含むため長期保存には向かない。袋詰めにしたものが「ゆでうどん」としてスーパーやコンビニなどでも売られている。手軽に食べられるため、市販の麺の中で高い比率を占めているが、延びたような状態となっており、食味は他のものより大幅に劣る。また、ファストフードとして機能する必要のある立ち食いうどんでは、注文から提供までの時間を極力短くするために、ほとんどがこれを使用している。
カップ入りや袋入りのインスタントうどんには、茹でた後に、酢やエチルアルコールを保存料としてまぶし、真空包装にしたものもある。
生うどん
太い麺と平打ち麺に多い。製麺後そのまま、もしくは表面に粉をまぶして包装される。食味に優れるが、麺の熟成度が時間と共に変化するため長期保存には向かない。少しでも熟成や酸化を抑えるべく、脱酸素剤といっしょに包装している場合もある。食べる直前に熱湯で茹で、湯を切って供する。
半生うどん
讃岐うどんの主流。讃岐うどんを名乗る場合は、ゆで時間を12分以上かけるように調整されており、コシが強く食味に優れる。脱酸素剤といっしょに包装している場合が多い。食べる直前に熱湯で茹で、湯切りの後に流水で締めて供するのが正統。小麦の専用品種の作付けが増加している。
干しうどん
一般的に「乾麺」と呼ばれる状態。細うどんに多い。製麺後に乾燥させて20cm内外の棒状に揃え、保存しやすくしたもの。使用時には茹でて戻す。食べる直前に熱湯で茹で、湯を切って供する。
冷凍うどん
生うどんを熱湯で茹でた直後、急速冷凍したもの、及び、生うどんを茹でずに急速冷凍したもの。後者の場合、冷凍生うどんと呼ばれる。一般的に麺類を凍らせると、凍結時に水分が膨張して分子構造が分断された状態となり食味に劣る。そこで茹で戻してからの弾力を得るため、冷凍うどんでは主にタピオカなどのデンプンがツナギとして使われ、通常のうどんよりも高カロリーな傾向がある。手軽さと比較的良好な食味から広く普及しつつある。
油揚げ麺(フライ麺)などインスタント麺
カップ入りや袋入りのインスタントうどんは、油で揚げたり、フリーズドライや茹でてから熱風乾燥した製品など、熱湯ですぐに戻る工夫が施されている。保存性と手軽さがメリットとなっている。
食べ方による分類 [編集]
冷やして食べる [編集]
ざるうどん・もりうどん・つけうどん(つけ)
ざる蕎麦と同じように茹であげた麺のヌメリを取り、冷水で冷やし、ざるなどに盛って食べる。小麦粉の香りを堪能する食べ方でもある。
冷たい濃い目のつゆや、ごまだれなどを用いて食される。薬味は刻みねぎのほか、おろししょうが、いりごま、刻みみょうがなどがある。
つけ汁がつけ麺と同様に温かい汁を使う食べ方も存在し、武蔵野うどん地域や北関東地方でよく用いられている。
ぶっかけうどん
茹で上げて冷やしたうどんに生醤油やつゆをかけてそのまま食する。薬味は大根おろしや花かつおなどシンプルなものが多く、ざるうどんと同じく麺そのものの味を楽しむ食べ方である。温めて食べることもある。
ころうどん
茹で上げの麺を氷水で〆たうどんに、たまり醤油と出汁の効いた黒くて濃いつゆをかけた名古屋のうどん。薬味は葱のみで、鰹節や生姜もない。正に冷やしたうどんだけを楽しむためのうどん。戦後、名古屋のうどん通によって定着する。
サラダうどん
冷やしたうどんにつゆをかけ、キュウリ・レタス・トマトなどの野菜を上に載せ、マヨネーズやゴマ味などのドレッシングをかけることが多い。
冷やしうどん
広義では「冷やして食べるうどん」の総称として用いられ、狭義では地域・店舗よって以下の意味として扱われる。どちらのメニューも夏季限定とされることが多い。
器に氷水(もしくは冷水)を入れ、その中に麺を入れて冷たさを長く持続できるように調理したうどん。これを濃い目のつゆ・薬味等を用いてざるうどんとほぼ同じ感覚で食べる。
丼や皿に盛った冷たいうどんに各種の種物を載せ、冷やしたつゆをかけて供する。代表的なものとして「冷やしたぬき」「冷やしきつね」などが挙げられる。この冷やしかけうどん関連メニューを「ひやひや」と称する地域や店舗もある。
温めて食べる [編集]
かけうどん(かけ)
茹で上げた後にヌメリを取り冷水で締める。その後うどんを湯に漬けて温め直し、温かいつゆをかけ、場合によっては種物を載せて食べる。
釜揚げうどん
茹であげた麺を水で締めずそのままの状態で、醤油や濃い目のつゆ、薬味のねぎ、生卵などを和えて食べる。
詳細は「釜揚げうどん」を参照

煮込みうどん
鍋焼きうどんが代表例で、生めんから煮込んでいく方法とゆでめんを用いる調理法があるが、いずれも比較的長時間加熱し、うどんにつゆの味をしみ込ませる。
詳細は「煮込みうどん」を参照

ぶっかけうどん
茹で上げたうどんに生醤油やつゆをかけてそのまま食する。薬味は大根おろしや花かつおなどシンプルなものが多く、ざるうどんと同じく麺そのものの味を楽しむ食べ方である。
その他の食べ方 [編集]
焼きうどん
うどんを使用した焼きそば。
詳細は「焼きうどん」を参照

揚げうどん
生うどんを数センチの長さに切って、フライドポテトの様に揚げ、塩または砂糖などで味付けしたもの。ビールのつまみやスナック菓子として食べられる。
なお、皿うどんは、名前はうどんだが全く別の料理である。
種物による分類 [編集]

ざるうどん
素うどん・かけうどん ざる(ざるうどん)・もり(もりうどん) [編集]
茹でた麺を冷水でしめて、笊(ざる)などの器に盛ったもの。蕎麦と同様につゆに付けて食べる、薬味も入れる。麺のコシや小麦の香りを楽しむ食べ方。

かけうどん・素うどん [編集]
麺につゆをかけ、刻みネギ以外にはほとんどなにも入れない。東日本(と香川県)では「かけうどん」、西日本(香川県を除く)では「素うどん」と呼ばれることが多い。

ただし広義には、「かけうどん」は温かいつゆをかけるうどんの総称で、以下のように様々な具を載せたものも含む。特に他と区別して「かけうどん」と呼んだ場合のみ、つゆだけをかけたもの(関西で言う「素うどん」と同じもの)を指す。

かやくうどん・五目うどん・おかめうどん [編集]
「たねもの」・「かやく」と呼ばれる具を数種類入れたうどん。具は、なると、ほうれん草、鶏肉など様々で、「五目うどん」と呼ばれる。特に具の種類の多いもの(八種類以上)については、東京や西日本の一部地域で「おかめうどん」(おかめ八目に由来)と呼ばれることもある。具の事を関西では「加薬(かやく)」と呼ぶことが多い。関東では具の入ったうどんを「種物(たねもの)」と呼ぶ。

きつねうどん [編集]

きつねうどん味付けした油揚げを載せたうどん。地域により、「けつね」[19]、「しのだうどん」[20][21]とも呼ばれる。

詳細は「きつね (麺類)」を参照

きざみうどん [編集]
細かくきざんだ油揚げを載せたうどん。ただし、油揚げに味付けはされていないことがある。近畿地方では「きつね」とは別メニューとして供される。牛丼チェーン店のなか卯が、うどんのメニューに入れていたことがある。

月見うどん [編集]
生卵を割って出汁を入れた麺の上に落としたうどん。卵の卵白(白身)を雲、卵黄(黄身)を月に見立てたことから月見と呼ぶ。卵の下に夜空に見立てた海苔が敷かれることもある。

詳細は「月見#料理における月見」を参照

とじうどん [編集]
「卵(玉子)とじうどん」ともいう。麺及び出汁の上に半熟の卵で閉じたもの。このような基本的なものだけでなく、卵でとじた上に三つ葉を上に載せ蒲鉾や椎茸を入れた「木の葉うどん」や、卵でとじた上に梅干を添えた「梅とじうどん」などもある。

天ぷらうどん [編集]

天ぷらうどん天ぷら(エビやイカ)、かき揚げなどを載せたうどん。店によっては薩摩揚げを載せることもある。

インスタントうどん、あるいは安価な立ち食いでは、コストなどの関係から、揚げ玉を寄せ集めて成形し、固めただけのものを用いることが多い。

たぬきうどん [編集]
たぬきうどん」の場合、地域によって意味合いが異なる。一般に天かす(揚げ玉)を散らしたうどんのことを指す場合が多いが、京都では細切りの油揚げを載せて、くずあんを掛け、おろし生姜を添えたうどんを指す。大阪や香川では「たぬきうどん」がメニューに存在しない店が多い。天かすを散らしたうどんは大阪でははいからうどんと呼ばれることもあるが、ネギや天かすが入った器が席に常備され、客が自由に入れることのできる店舗が多いので(北部九州地方も同様)、天かす入りのうどん・そばには特に名称がないのが普通である。大阪や香川では「たぬき」の語は「たぬきそば」(油揚げを載せたそば)のみに使用する。

詳細は「たぬき (麺類)」を参照

カレーうどん [編集]
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カレーうどんだし汁にカレー粉を加えてカレー風味にしたものか、だし汁で延ばした和風カレーをつゆとして用いたうどんである。麺が蕎麦に変わると「カレー南蛮」になる。ただし最近では「カレー南蛮うどん」「カレー南蛮そば」の両方をメニューに加える店もあり、前者(カレーうどん)と同じものを「カレー南蛮」と称する例も出てきた。

カレー南蛮の「南蛮」は唐辛子のことではなく「なんば」が転じたものでネギ(長ネギ)のことを指し(「鴨南蛮」「かしわ南蛮」に同じ)、元来は大阪・難波の近くで採れた長ネギを指した。現在でも「鴨なんば」「カレーなんば」など、「なんば」の名称を用いている店もある。長ネギではなく玉ねぎを使ったものをカレーうどんと区別する店もある。

近畿では関西風のだしを利かせた薄口醤油を基本としたつゆにカレー粉を入れ、片栗粉ないしは小麦粉でとろみをつける。具は牛肉を主体に青葱、玉葱を入れるのが主流。店によっては薄揚げを入れる店もある。

単純にカレーライス用の汁(カレーソース)をうどんにかけただけという場合もある。大衆食堂や学生食堂・市井のうどん屋などで、カレーライスとカレーうどんの汁を共用している場合にしばしば見られる例である。またカレーソースをだし汁で延ばしてかけたり、うどんのだし汁を半分程度はりその上にカレーソースをそのままかけるという形もある。

なおカレーうどんは1909年に作られたものだが、当初はゲテモノとして扱われていたという。現在では大半のうどん店で扱っているほど、一般的なうどんの一種となっている。最近ではチーズ入りなどのバリエーションも出てきている。

カレーうどんを食べる際、箸から麺を取り落としやすくあるいはどんぶりからカレー汁を跳ねさせるなどの原因で衣服を汚してしまうことがしばしばある(これを嫌ってカレーうどんを食べない者もある)。このため、カレーうどんの客には特に紙製のエプロンを用意する店も時折見られる。

名古屋は味噌煮込みきしめん、あんかけと同様に独自のカレーうどんが生まれている。名古屋流のカレーうどんで一番違うのはカレールーである。カレー南蛮のように片栗粉が一切入らないのでスープのようなサラッとしたつゆになっている。このカレーうどんは昭和40年代に名古屋市北区うどん屋が始めたのが元祖で、御園座に出演した芸能人が多く来店して50年代に有名となった(今も同じところに、うどん屋はあるが暖簾、経営者、麺も味付けもすべてが当時とは違う)。元祖の店がカレーうどんの作り方も広げたため、名古屋独自の作り方となる。基本的にカレーは店夫々が独自にスパイスを調合して作るので、市販のカレールーより黄色い。作り方も、注文を受けたカレーうどんのうどんを茹でているあいだにうどんのだし(かつおベース)に独自で作ったカレー粉をディッシャーですくって溶き混ぜる。基本は、一人前づつ手鍋で作る。具は葱、揚げ、豚バラ肉のみでほぼ後のせでつゆを完成させる。完成後、先にどんぶりに盛ったおいた麺の上にかけて完成する。麺は1cm以上ある極太で、角張っているのが特徴。伸びにくく箸でつかみ易いのも特徴。その麺とカレーの特徴を活かして、3種類のカレーうどんがある。1つめは極太麺もカレーも熱い”カレーうどん”。2つめは、極太麺は冷水でしめてカレーが熱い”冷やしカレー”。3つめは、極太麺をカレーと一緒に土鍋で煮た”煮込みカレー”(元祖の店では、煮込みカレーは出していない)。

焼きうどんを供する店で、味付けにカレーパウダーを使ったドライカレーうどんを供する場合もある。

北海道上川支庁美瑛町では、「美瑛カレーうどん」と称して独自のカレーうどんを観光振興に用いている。小麦と野菜の産地であることから発案された。ざるうどんのように、冷やした麺をめんつゆ代わりのカレーにつけて食べる。太い麺と、カレーに野菜などの具が多く入っていることに特徴がある。

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冷やしカレーうどん [編集]
名古屋独自のカレーうどんで、だし汁とカレー粉で作るカレー出汁に片栗粉が一切入らない。

うどんを茹でているあいだに通常のうどんのだしにカレー粉を溶いて、一人前づつ作る。 片栗粉でとろみをつけていないため、他より黄色い色のカレーうどんであり、一人前づつ手鍋でカレーを沸騰させるたカレーを麺に掛けるのでカレーはぶくぶくと煮えたぎっている。

麺はすぐ伸びないように極太で、具は葱、揚げ、豚バラ肉のみ。昭和40年代に名古屋市北区うどん屋が始めたのが元祖で、それまでは大阪のカレーうどんやカレー南蛮そばのように片栗粉でカレーのとろみをつけていたカレーうどんであった。

通常のもの以外に、極太麺は冷水でしめ、カレーは熱い「冷やしカレー」、極太麺をカレーと一緒に土鍋で煮た「煮込みカレー」がある(元祖の店では、煮込みカレーは出していない)。

冷やしカレーの最初は、名古屋流カレーうどんの元祖の店に通っていた常連の歯医者が猫舌だったために、麺を冷やして欲しいとお願いしたことから始まった。片栗粉が入っていると、冷たい麺に冷やされた周りのカレーにとろみがなくなり、カレーが麺に絡まず美味しく出来ないのだが、偶然にも冷水で〆たうどんとカレーがマッチして、裏メニューとして広まっていく。

この店のカレーうどんが広まるまでは、名古屋でも片栗粉をベースにしたカレーうどん屋は多くあった。 現在も僅かだが残っているが、そのような店ではこの「冷やしカレー」は食べることが出来ない。

冷やしカレーは麺が冷水でしめてあるのでカレーはぶくぶくと沸いていても、食べ終わるまで麺が伸びない。うどんのコシが楽しめるために、猫舌の人以外にも他の常連や通の間で広まっていって正式なメニューとなる。

肉うどん [編集]

肉うどん醤油で味付けして煮た牛肉、鶏肉、豚肉、また地方によっては馬肉を具にしたうどん。肉はおおむね甘辛く煮付けている。

力うどん (かちんうどん) [編集]
餅が入ったうどん。他の具と組み合わされる場合も多い。近畿での呼び方の「かちん」とは、「餅」を指す女房言葉から。通常は焼き餅が乗せられることが多いが、近年は揚げ餅が乗せられることもある。

卓袱うどん (しっぽくうどん) [編集]
京都の卓袱うどんは、しいたけの煮付け、かまぼこ、ゆば、板麩、三葉などを載せたもので、つゆは他のうどんと変わりがない。讃岐・京都などに伝えられており、地域によって具・出汁など内容が異なる。山形にも「しっぽく」が訛ったと推定される「すっぽこうどん」がある。元々は江戸時代に卓袱料理の影響を受けて京阪地区で考案されたうどん[22] [23]。

あんかけうどん [編集]
つゆにくず粉や片栗粉などを入れ、とろみをつけた餡(あん)をかけたうどん。京都では細切りの油揚げを載せて、くずあんを掛け、おろし生姜を添えたうどんを「たぬきうどん」と呼ぶのだが、そこから油揚げを除いた物のことを「あんかけうどん」呼ぶ。

おだまきうどん [編集]
茶碗蒸しの材料にうどんを入れたもの。うどん入り茶碗蒸しを「おだまき蒸し」と言うのに対し、おだまきうどんはあくまでうどんが主体である。「おだまき」は「小田巻」と漢字で書かれることが多いが、うどん玉が麻糸を空洞の玉のように巻いた様に似ていることから「苧環」と名付けられたという説もある。大正期までは大阪で盛んに供されたが、特に高価な品であったという。しかし手間がかかることが嫌われ、現在では正規のメニューに載せている店は非常にまれである。

おじやうどん [編集]
「雑炊うどん」ともいう。文字通り出汁(だし)を活かした、おじや(雑炊)とうどんが一体になったもの。きつねうどんの発祥である大阪市の「うさみ亭マツバヤ」が元祖とされる[要出典]。

鍋焼きうどん [編集]
基本的に土鍋で煮込んだうどんの事を言うが、スーパーマーケットなどで売られているのはアルミ製の鍋(皿)である。蕎麦屋うどん屋に出前を頼むと、店によっては煮込んでから届けるか、煮込まずに届けるかを尋ねられることがある。

詳細は「鍋焼きうどん」を参照

牛鍋うどん [編集]
「牛すきうどん」などともいう。すき焼きにうどんを入れたもの、溶き卵にうどんをつけて食べる。具はすき焼きと同じく牛肉、白葱、焼き豆腐、また春菊を入れる場合もある。また他の鍋料理と同様に、すき焼きの締めに残った出汁に、うどんを入れる場合もある。

日本国内における地方のうどん [編集]

稲庭うどん各地域で食べられているうどんには小麦の生産される土壌、気候、醤油などの醸造業や漁業などの地場産業、流通を担う商人などの存在により、その地域独特の郷土料理となっているもの、また村おこしの一環として地域の名物となったものなど様々な種類がある。

稲庭(いなにわ)うどん [編集]
秋田県南部の手延べ製法の干しうどん[24]。ひやむぎより若干太い。製造工程は、食用植物油を使用せず打ち粉としてでん粉を使う点や、乾燥前につぶす事による平べったい形状が特徴。麺は気泡により中空になっており、そのために食感は滑らか。稲庭うどんについて記述のある「稲庭古今事蹟誌」によると、寛文年間以前に秋田藩稲庭村小沢集落(現:秋田県湯沢市稲庭町字小沢)の佐藤市兵衛によって始まると伝えられている[25][26]。また、その製法技術は、日本海交易により福岡からもたらされたとする説や山伏から教えられたなどの諸説がある。

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甘ったれうどん [編集]
宮城県蔵王町で作られているうどん。小麦は北海道産が使われている。麺に細かく刻んだネギを散らし、上に卵黄をのせ、甘みのあるタレを使ってかき混ぜて食べる。

ひっぱりうどん [編集]
山形県の郷土料理。茹で上がったうどんに納豆やサバ缶などを混ぜて作ったたれを使って食べる。「ひきずりうどん」とも呼ばれている。

詳細は「ひっぱりうどん」を参照

おっきりこみ [編集]
二毛作による粉食文化のある群馬県・埼玉県北部・秩父地方の野菜煮込みうどん[24]。

詳細は「おっきりこみ」を参照

館林のうどん [編集]
群馬県館林市地方は小麦の産地であり[27]、日清製粉グループ本社の前身であった「館林製粉」発祥の地であった事、歴史的にうどん食文化があった事(江戸時代中頃より館林藩の名物として将軍家に献上されたとの記録がある)[28][29]等の理由から、1994年(平成6年)より町おこしの観光資源としてうどんが活用されている[28][29]。乾麺が中心となっており[29]、特徴としては変わりうどんが多数ある事[30]。個人店では、まゆ玉が入ったうどんがある。

桐生うどん [編集]

ひもかわうどん群馬県桐生市地方も小麦の産地であり[27]、そちら中心とした地域で食べられているやや太めのうどん。「ひもかわ」と呼ばれる幅広なうどんもある。ざるうどんのほか、「きのこうどん」として食べられる。

水沢うどん [編集]
群馬県渋川市伊香保町水沢特産のうどん。生地を捏ねてから伸ばすまでの間に、14日程度の熟成期間があり、とてもこしが強いのが特徴。

詳細は「水沢うどん」を参照

耳うどん [編集]
栃木県佐野市(旧葛生町)仙波における郷土料理。

詳細は「耳うどん」を参照

加須うどん [編集]
埼玉県加須市で食べられているうどん。

詳細は「加須うどん」を参照

冷汁うどん [編集]
埼玉県秩父市とその周辺(県西部)、大宮市、川越市加須市辺りで、主に夏に食されるざるうどん状の家庭料理[24][31]。

詳細は「冷や汁#埼玉県の冷や汁」を参照

武蔵野うどん [編集]

武蔵野うどん埼玉県や多摩地域伝統のうどん。地粉を使った黒っぽいものが多い。以前は小麦の生産が多かったために良く食べられていた。この地域の旧家では冠婚葬祭には必ずうどんを出したという[32]。

詳細は「武蔵野うどん」を参照

ほうとう [編集]
山梨県全域で作られる郷土料理[24]かぼちゃや根菜類など季節野菜主体とした味噌汁に、生地に塩を練りこまずコシを作らない状態で幅広に切った麺を、打ち粉が付いたままの生状態から入れて煮込む。またこの調理法のために汁にとろみがある[33]。おやきやおねりと言った粉食料理の範疇と捉えられており、一般にはうどんの範疇とは認知されてはいない[33]。

詳細は「ほうとう」を参照

吉田のうどん [編集]
山梨県富士吉田市で作られる郷土料理[24]。非常に強いコシと太さを特徴としており、すすれないとか、うどんが噛み切れないほどである。煮干や鰹節を出汁とした味噌あるいは醤油味の汁で食べる。キャベツと馬肉が入れられ、各店特製の調製唐辛子が用意されている。当地は富士北麓は冷涼な気候と溶岩台地の地理的条件から稲作が困難であったが、水掛麦による麦作が行われ伝統的に粉食料理が食べられていた。

詳細は「吉田のうどん」を参照

おしぼりうどん [編集]
長野県埴科郡坂城町周辺で作られる料理。ねずみ大根という辛い大根をすりおろした汁に信州味噌を溶かしたつゆにつけて食べる。

詳細は「おしぼりうどん」を参照

氷見うどん [編集]
富山県氷見市で作られる手延べ式の細いうどん。加賀藩献上御用うどんとして藩政期より250年以上の歴史があり[34]、麺の細さから「糸うどん」と言われる事もある。出汁は、魚介類を原料とする地元産の魚醤「いしる」を使う。「氷見うどん」の名称は商標登録されており、多くの店で使用されていない。

詳細は「氷見うどん」を参照

ころ(香露)うどん [編集]
名古屋の冷やしうどん(ひやひや)を指す。名称の由来には2説ある。

一つは戦前、公設市場のうどん屋で冷たいうどんの注文用に早く出せるように、ゆでて置いて1人前ずつ、丸めて置いて(もしくは丼に分けていた)いた姿が小さく丸まった、石ころのようにころっとしている姿を捉えた名称の説。

もうひとつは、同じく戦前に信濃屋が冷やしうどんを香露うどんと名づけた説。

ただ、両者には少し特徴がある。ころうどんと呼ぶ多くはつゆが濃く、丼にある麺の半分程度しか掛けられていない。逆に香露うどんの信濃屋は、麺の上までつゆがたっぷり掛かっている。加えて、香露と書くよりも”ころ”とする店が多いことからも”ころ”の説が強い。

現在では冷たい麺を、”ころ”とつけて呼ぶ。讃岐の”ひやひや”と言うように、注文時に”ころ”と言えば冷やしうどんが出てくるし、きしめんであれば”きしころ”と注文すれば冷たいきしめんが出される。

しかし冷たいカレーうどんはカレーコロやコロカレーとは呼ばない。これは名古屋流のカレーうどんである元祖の店ではころ(冷やしうどん)とカレーうどんor冷たいカレーうどんを頼む人が多かったため。冷たいカレーうどんは”冷やしカレーor冷(つめ)カレ”と呼ぶ。

当時の店では”ころと冷やしカレー”と注文していた。現在、元祖の店はなくなっているが、ノレン分けや店名が譲渡された店がある。

きしめん [編集]

きしめん名古屋名物の平らな麺で、「うどん」とは別物である。静岡の”ほうとう”や冷麦等のように、麺の1ジャンルとして画一している。ちょうど、四国の”うどん”と”そうめん”のような文化で、名古屋には”うどん”と”きしめん”がある。

その論左に名古屋でのきしめん屋は、うどんではなくそば等との併用店が多い上、うどん屋よりも店も圧倒的に少ない。きしめんの専門店はさらに少ないにも関わらず、名古屋ではきしめんと有名になったのは、古くからお宮さん(熱田神宮内)で食べられることから、名古屋以外の人にはうどんより、名古屋はきしめんとして認知が高くなったと考えられる。うどんときしめんが別物ととらえるところの一つに、夫々の文化から生まれたメニューがある。名古屋独自の赤味噌を使ったメニューが夫々にあり、うどんは「味噌煮込みうどん」、きしめんは「豚汁きしめん」と歩んできた道はまったく別で、豚汁うどんや味噌煮込みきしめんはない。また、蕎麦屋と併用店が多いことから「海老おろし」もきしめんならではの人気メニューである。

詳細は「きしめん」を参照

味噌煮込みうどん [編集]
名古屋の郷土料理で名古屋飯の代表格の一つ。

名古屋市中村区のある家の朝食で、うどんと味噌汁(八丁味噌)を食していた。ある日、妻が朝食作りの面倒な工程を減らすために、うどんをお湯で茹でるのではなく味噌汁で茹でたことがルーツである。

味噌汁で茹でたうどんは堅いが、何故か好評を得たため、戦後、店を出すまでになる。しかし、うどんが硬いため、評判は悪く客足が途絶える。店は客足を回復するため、お湯で茹でたうどんを味噌汁に入れて出すようになるが、味噌汁で茹でた硬いうどんが食べたいという客がふえたため、味噌汁で煮込んだうどんが定着する。

この味噌煮込みの味噌は意外にも八丁味噌白味噌のMIXが基本で、土鍋に味噌汁を作ってから沸騰させながら麺を茹でる。本来、味噌は沸騰させると風味を落とすが、八丁味噌(豆味噌)は沸騰させることで円やかになる特徴があることからも名古屋ならではの味噌料理の一つである。他にも味噌を煮込むのには味噌カツ、どて煮などがある。

また味噌煮込みの土鍋のふたは、湯気を逃がす穴が開いていない。これは、土鍋のふたに煮込んだうどんと味噌汁を入れて冷ましながら食べるためである。

発祥の店、山本屋には、総本家と本店の二つの暖簾があるが、本店は総本家の弟子が暖簾分けをした形でルーツは総本店である。本店は、うどんも早くから手打ちを止めて、大型店化、高級化などをしたため商売方法は相当に異なる。またルーツの総本家も実は2系列存在していて、発祥の家系と親戚の店がある。どちらも庶民の価格でリーズナブルである。

伊勢うどん [編集]

伊勢うどん三重県伊勢市周辺に伝わる、柔らかくゆでた極太の麺に黒く濃厚なタレを絡めて食べるうどん[24]。

詳細は「伊勢うどん」を参照

関西のうどん [編集]
「おうどん」と呼ぶことが多い。麺は柔らな食感でコシがないと表現される。これは出汁(関西ではつゆのことを出汁と呼ぶが、根本的に関東のつゆとは異なるものである)がからみやすく、また出汁を吸いやすいようにとの工夫である[35][36][37]。出汁は、昆布と削り節(鰹節、鯖節など)をベースに、炒り子(うるめいわしなど)、椎茸、エビなどを合わせるなど、各店で工夫が凝らされる[38]。京都と比べると、魚介出汁は強めで、様々な隠し味を使い、複雑な味わいに仕上げるなど、同じ関西でも地域によって微妙に出汁の違いがあるが、吸い物のように飲み干せるように仕上げられている。また、ごはんや寿司(巻き寿司、押し寿司、ちらしなど)と共に食することも多い。


かすうどん(こぶいり) かすうどん [編集]
大阪の南河内地域で食べられてきたうどん。だしの中に、細切れにした脂の乗った牛の小腸(ホルモン)を油で揚げた「油かす」が入っており、独特の風味がする。大阪市内では2000年代に入ってから、このうどんを出す店が増えている[39][40]。

こぶうどん [編集]
京阪神のうどん店でよく見られるメニュー。「とろろ昆布」、あるいは「おぼろ昆布」をうどんに乗せて供する。関西では昆布を「こぶ」と呼ぶことが多く、このメニューも「こんぶうどん」とは呼ばず「こぶうどん」と呼ぶ。チェルノブイリ原子力発電所事故後、大阪市内の一部の立食うどん店で「放射能よけうどん」として売られていたことがある。

うどんすき [編集]
うどん中心の寄せ鍋風のもの[41]。

備中うどん [編集]
鴨方うどん、備中鴨方うどん、かも川うどんとも呼ばれる、岡山県浅口市鴨方町およびその周辺で作られるうどん。この地域は、古くから手延麺の産地であり、手延そうめんや手延ひやむぎと共に手延うどんも製造されている。

詳細は「備中手延べ麺#備中うどん」を参照

倉敷のぶっかけうどん [編集]
江戸時代、天領だった倉敷に来た代官に差し出されたうどんが原型という説がある[42]。江戸の蕎麦を由来とする汁であるため、讃岐など他近辺地域のぶっかけうどんよりも濃く甘味が強い汁で、また具が多めである。古くから倉敷の地で食べられていた郷土料理だったが、地元のうどん店「ふるいち」が倉敷名物として売り出し、定着した。

詳細は「ぶっかけうどん」を参照

しのうどん [編集]
岡山県倉敷市の玉島にある曹洞宗名刹円通寺の修行僧が江戸時代に食していた「一筋一椀」と呼ばれるうどんの別称。

詳細は「しのうどん」を参照

鳴門うどん [編集]
徳島県鳴門市を中心に食べられているうどん。藩政時代〜昭和後期まで鳴門市は塩田地帯として栄えたが、塩田での重労働を終えた人々向けにこなれの良い食物として提供されたものとされる[43]。腰がほとんどなく細い麺。だしは煮干しなどを用いあっさりしている。具は細かく刻んだネギ・チクワ・油揚げなど[44]。

たらいうどん [編集]
徳島県北東部の土成地区の郷土料理[45]。うどんをゆで汁ごと大きなたらいにあける。そのたらいを数人で囲み、つけ汁に付けて食べる。つけ汁の出汁には川魚(じんぞく)が使われる。 ※現在じんぞくを使っているのは「樽平」のみ(2009年3月現在)

讃岐うどん・しっぽくうどん [編集]
香川県特産のうどんで[24]、ツルリとして滑らかな麺。トッピングや食べ方は多種多様な品目がある。しっぽくうどんもこの一部。

詳細は「讃岐うどん」を参照

博多うどん(福岡うどん) [編集]

福岡のごぼ天うどん福岡・北九州方面で食べられているうどん[46]で、一般的に腰が弱めで柔らかいものが多い[47][48][49][50]。汁は昆布・鰹節・うるめ・鯖節・いりこ・あじこ・あご(トビウオ)等を使用し薄口醤油で仕上げる。具としては「丸天」や「ごぼ天」が一般的である。薬味として柚子胡椒が用意されている店も多い。

発祥としては1241年(仁治2年)に宋より帰朝した聖一国師円爾(しょういちこくしえんに)などの僧により茶・饂飩・蕎麦・饅頭が日本にもたらされ、博多はこれらの発祥だという説がある[47]「腰が弱めで柔らかい」経緯にははっきりしないが諸説あり、(伝来した頃のうどんは「単に粉をこねただけの柔らかな麺」といわれるが、その中で「柔らかな麺」という特徴をこの地方では後々まで引き継いでいった[47]、 商人町でせっかちな人が多く食事を早く済ませたい要望が多かった土地柄を反映して、調理時間を短縮するために茹で置きが広まった事や、素早く噛み切れて飲み込みやすい状態が望まれた事もあって柔らかく緩いうどん麺になった[47]、温かい汁[51]でうどんを食べる場合、強い腰がある麺よりも腰が弱めで柔らかい麺の方が汁と絡み易くなることに気付き主流になっていった[48]、などがある。

丸天うどん [編集]
福岡県を中心とした地域のうどん。薩摩揚げに類似する、魚のすり身を円形にして油で揚げた練り物(揚げ蒲鉾)[52]が載っている。当地では揚げ蒲鉾一般のことも「天ぷら」と称することに由来する。九州地方では、「天ぷらうどん」と称する場合、この丸天うどんのことを指すことがある。

ごぼう天うどん(ごぼ天うどん) [編集]
福岡県を中心にした地域のうどん。うどんの上に笹がきごぼうかき揚げにした(もしくはバラバラに揚がった)天ぷら[52]が乗っているもので、九州北部地方の大方の店舗で扱っている。ごぼ天うどんと呼ぶこともある。

かしわうどん [編集]

鳥栖駅かしわうどん福岡県を中心とした九州北部定番のうどん。鶏肉のそぼろ(この地方の方言で鶏肉をかしわと呼ぶ)をうどんの上に散らしたものである。特に駅弁のかしわめしで有名なJR九州折尾駅から博多駅を経て鳥栖駅にかけての駅立ち食いうどん店では「かしわ無しで」と注文しないと、ほぼ全てのうどんに、このかしわがトッピングされている(つまり「かしわうどん」が、かけうどんのような立場である)。大分県などでは鶏肉を煮付けたブロック状のものが載せられたものを指す。

五島うどん [編集]
長崎県五島列島で産するうどん。厚めに丸く伸ばした生地を鎌で渦巻き状に切り出した後(この工程から『鎌切り